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エピローグ 約束(120%)

二年が経ちました。二十一歳の誕生日、あたしは手術を終えて女となりました。 今日はあたしが女になって一年目の誕生日なのです。人生で初めての失恋から 必ずしも立ち直っているとは言えませんでしたが、きっといつかは幸せを掴み 取りたいと思っています。 水圧に耐えながら目の前の魚は暗い深海を元気に泳いでいるのですから・・。 「すみません、そろそろ閉館の時間です」 「あっ、はい。わかりました」 あたしは人影の無くなった葛西臨海公園水族館を出口へと向かったのです。 こんな時、以前でしたら、姉貴が迎えに来ていてくれたものですが、今は誰も いません。自分の足でしっかり、現実の世界に帰らなければなりません。 ふと、レストランテラスを見ると男性が一人椅子に腰掛けてコッチを見ている のです。あたしはその場に立ち竦みました。それは祐樹さんだったのです。 祐樹さんは椅子から立ち上がりゆっくりと、あたしの側に近寄って来ます。 「迎えに来たよ」 「どうして・・・ここに」 「今日はめぐみの誕生日だろ?」 「うん」 「二年前に渡せなかったものを渡そうと思って待っていたんだ」 そう言いながら、ポケットから小さなケースを取り出したのです。 「開けてみて」 あたしはゆっくり、渡されたケースを開けました。その中にはイルカを形取っ たプラチナの指輪が入っていたのです。 「高かったんだぞ!受け取ってくれるよね」 「でも・・・」 目に涙が溜まって、祐樹さんの顔がよく見えません。あたしはすっかり泣き虫 になってしまったようです。 黙って差し伸べられた手をあたしは掴んでいました。 あとから聞いた話ですが、MOAに似た女性は幼馴染だそうで、上司と不倫の 末、身ごもってしまったらしく、相談を受けていたそうです。 あの日、その女性からあたしが訪問したことを聞かされ、あたしが誤解したの ではと思った祐樹さんは、友達を探し回ったようです。智美からお店を聞いて 急ぎ訪れたら、あたしが砂田さんに抱きつきキスをしている場面を目撃してし まったのでした。 昨年の誕生日も、朝からずっと葛西臨海公園水族館に来てあたしが来るのを待 ったそうです。その時、あたしはSRS手術で苦しんでいたことも知らずに。 この二年間はなんだったのでしょうか、早く連絡をくれればよかったのにとも 思いましたが、あたしも連絡をしなかったのですから、・・・・許してあげる ことにしました。


TRANSE NOVEL めぐみ二十歳の春
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