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第7章 就職(90%)

姉の話では、勤める保険会社が外資系の会社に吸収合併されることとなったよ うで、関西に置かれている本社に旧会社の本社機能は移動するとの事でした。 姉の所属する総務部は多くの社員はリストラで退職するようですが、姉は残る そうでした。しかし、条件として関西への転勤を命じられたようです。 「この景気じゃ、次の会社は見つからないからね。仕方ないのよ」 「姉貴も大変なんだねー」 「それより、めぐみはどうなの?」 「どうって?」 「就職よ。探してるんでしょ?」 頭の痛いところを姉は突いてきました。祐樹さんも4年制の大学で今年で学生 生活も終わりなのですが、昨年、すでに大手食品メーカーに内定が決まってい ました。短期大学は就職難で殆どの学生が決まってないようなのですが、コネ のある智美や里美はすでに縁故の会社に就職が内定していたのです。 「うーん、まだ・・・」 「まだ?探してないの?」 「アルバイトでもいいかなーって」 「アルバイトなんて真っ先に首を切られるのよ?」 「そんなこと言っても、今更、男としてなんて働けないよ」 確かに男性のモノはついていますが、当に機能を失っていました。胸もAカッ プ程になっていて外見は自分で言うのも変ですが、可愛い女の子です。いえ、 外見だけではなく祐樹さんと出逢ってからは精神的にもすっかり女の子として 生きていたのです。 「女の子として働けばいいじゃない」 「女の子として?雇ってくれるところなんてそれこそ無いよ」 結局、その日は祐樹さんのマンションへ行くのを諦めたのでした。 翌日、葛西臨海公園で祐樹さんと待ち合わせをしました。葛西臨海公園は大き な観覧車で有名ですが、バードウォッチングが出来る程の広大な敷地はデート には最高の場所なのです。祐樹さんに連れられ何度も訪れていました。公園内 には水族館もあって僕のお気に入りです。 「めぐは、水族館好きだね」 水族館にあるレストランテラスで僕達は軽い食事とコーヒーを飲んでいました。 「お魚やペンギンを見てると時間を忘れちゃうよ」 「今日で三度目か?」 「智美達とも来てるから・・・五度目かな(笑)」 「えっ?彼女達とも二回来たんだ?」 「そうだよ」 「・・・・」 「水族館って楽しいでしょ?」 半ば強制的に祐樹さんに言いました。 「あっ・・あぁ」 中学時代の僕は、お決まりの苛めに遇っていました。女子生徒からも男子生徒 からも除け者にされたのです。そんな時、僕は水族館に一人で行って閉館まで 魚を見ていました。そして、誰も居なくなった館内に迎えに来てくれるのが姉 貴だったのです。 でも、この葛西の水族館は別でした。智美や里美、そして祐樹さんと来る楽し い思い出の場所となっていたのでした。 「水族館ってあまり良い思い出・・・ないんだけど」 「どうして?」 「昔、よく苛めにあった時、一人で行ったの」 「そうなんだー」 「でも、ここは違うの・・・好きな人達と来るから」 「そっか」 「じゃ、その思い出に・・・」 祐樹さんが小さな袋を僕に手渡したのでした。 「何?」 「さっき、お土産の売店で買ったんだ(笑)」 袋を開けると中にはイルカを形取った指輪が入っていました。 「シンプルでいいでしょ?」 「うん、とっても気に入ったぁ」 「イルカはね?人間と違ってツガイになると死ぬまで寄り添っているんだ」 「そうなの?」 「で、片方が死んでも、絶対の他の相手とは二度とペアーにならないんだよ」 「・・・・・」 「安物だけどね(笑)」 「嵌めてあげる」 僕が右手を差し出し、指輪を渡すと、祐樹さんが僕の薬指にイルカの指輪を嵌 めたのでした。 「これで、めぐはずっと俺のものかな(笑)」 「子泣き婆みたいにオンブして離れない!」 「なんだか、日々重くなりそうだなー、笑」 「ところで、昨日はどうしたの?期待してたのに・・・」 「食事を?それともエッチを?」 「両方だよ。笑」 「あはは・・・、実は姉貴が異動になって大阪に行くことになったの」 「そうなんだー?、で、いつ?」 「来月からだって」 「また、急だね」 「そうなの」 「でも、一人になったら心置きなく俺のところに来れるかも(笑)」 「まぁ、それはそうだけど・・・笑」 「後は就職の話で・・・」 「そう言えば、めぐも今年で卒業だよなぁ。まだ、決まってないんだよね」 「うん」 「何をしたいんだった?」 「うーん」 「それも決まってないの?」 冗談半分に祐樹さんのお嫁さんと言おうと思ったのですが、声とはなりません でした。精神的に女の子であろうと、身体的にも女の子になっても戸籍は男な のです。ましては僕の股間には祐樹さんと同じモノがついていたのです。


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